肺炎球菌と肺炎球菌ワクチンについて
はじめに
肺炎球菌は、肺炎をはじめ、中耳炎、副鼻腔炎、髄膜炎、敗血症など、さまざまな感染症を引き起こす細菌です。特に高齢者や小さなお子さん、持病のある方では重症化しやすく、日本でも毎年多くの方が肺炎で入院・死亡しています。
そして、その予防に大きな力を発揮するのが肺炎球菌ワクチンです。
現在、日本では肺炎球菌ワクチンとして
- プレベナー20®
- キャップバックス®
が使用できるようになり、従来よりもさらに広い範囲の肺炎球菌に対して予防効果が期待されています。
このページでは、
- 肺炎球菌とは何か
- 肺炎球菌感染症とは
- どんな人が注意すべきか
- 肺炎球菌ワクチンの種類
- プレベナー20とキャップバックスの違い
- 接種したほうがよい人
- 副反応や注意点
について、できるだけわかりやすく解説します。
肺炎球菌とは?
肺炎球菌は、健康な人の鼻や喉にも存在していることがあり、普段は症状を起こさないこともあります。しかし、体力や免疫が低下した時に感染症を引き起こします。
特に、
- 高齢者
- 乳幼児
- 糖尿病
- 心臓病
- 肺疾患
では重症化しやすいことが知られています。
肺炎球菌には100種類以上の型(血清型)があり、型によって毒性や流行状況が異なります。そのため、ワクチンではどの型をカバーするかが非常に重要になります。
肺炎球菌感染症
1.肺炎
もっとも有名なのが肺炎です。
高齢者の肺炎では、肺炎球菌が原因となることが非常に多く、日本でも代表的な原因菌です。
肺炎の症状
- 発熱
- 咳
- 痰
- 息苦しさ
- 胸の痛み
- 倦怠感
- 食欲低下
肺炎は重症化すると入院が必要となり、命に関わることもあります。
2.侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)
肺炎球菌が血液や髄液に入り込むと、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)と呼ばれる重篤な病気になります。
代表的なもの
- 菌血症
- 敗血症
- 髄膜炎
です。
特に髄膜炎では、
- 強い頭痛
- 高熱
- 意識障害
- けいれん
などを起こし、後遺症が残ることもあります。
高齢者では死亡率も高く、予防が非常に重要です。
3.中耳炎・副鼻腔炎
小児では、
- 急性中耳炎
- 副鼻腔炎
の原因としても有名です。
小児用肺炎球菌ワクチン (プレベナー20) が導入されてから、中耳炎や重症感染症は大きく減少しました。
なぜ高齢者は肺炎に注意が必要なのか?
日本では高齢化に伴い、肺炎による死亡が大きな問題となっています。
高齢になると、
- 咳をする力が弱くなる
- 飲み込む力が低下する
- 免疫力が低下する
ため、肺炎になりやすくなります。
さらに、
- 糖尿病
- COPD(慢性閉塞性肺疾患)
- 喫煙歴
- 心不全
- 腎不全
などがあると、さらに重症化リスクが高まります。
また、インフルエンザや新型コロナ感染後に肺炎球菌肺炎を合併することもあります。
そのため、
- インフルエンザワクチン
- 新型コロナワクチン
- 肺炎球菌ワクチン
を組み合わせて予防することが重要です。
肺炎球菌ワクチンとは?
肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による感染症を予防するワクチンです。
特に高齢者では、重症化を防ぐという点が非常に重要です。
肺炎球菌ワクチンの種類
現在、日本で主に使用される成人用肺炎球菌ワクチンには、
- プレベナー20®
- キャップバックス®
- ニューモバックスNP®
などがあります。
このうち近年注目されているのが、プレベナー20とキャップバックスです。
プレベナー20®とは?
プレベナー20 は、20価肺炎球菌結合型ワクチンです。
20価とは、20種類の肺炎球菌の型をカバーしているという意味です。
1.免疫が長く続きやすい
プレベナー20は結合型ワクチンです。
結合型ワクチンは、免疫を作る力が強く、
- 高齢者でも効果が期待しやすい
- 免疫記憶ができやすい
という特徴があります。
2.重症感染症の予防が期待される
肺炎だけでなく、
- 菌血症
- 髄膜炎
- 敗血症
などの侵襲性肺炎球菌感染症の予防効果が期待されます。
3.1回接種で完結する
接種歴によって異なりますが、プレベナー20単独接種で完結するケースも多く、接種スケジュールがシンプルです。
キャップバックス®とは?
キャップバックス は、新しい21価肺炎球菌結合型ワクチンです。
プレベナー20と同じく、結合型ワクチンに分類されます。
1.日本で問題となる型を重視
キャップバックスは、日本を含め世界で問題となっている侵襲性肺炎球菌感染症の原因型を広くカバーしています。
2.結合型ワクチンである
プレベナー20と同様に、
- 強い免疫
- 免疫記憶
- 高齢者での有効性
が期待されます。
プレベナー20とキャップバックスの違い
患者さんからよく聞かれるのが、
どちらを打てばよいのですか?
という質問です。実際には、どちらも非常に優れたワクチンであり、大切なのは必要な人が接種することです。
カバーする型
| プレベナー20 | 20種類 |
|---|---|
| キャップバックス | 21種類 |
と少し違いがあります。
どんな人が接種したほうがよい?
1.65歳以上の方
高齢者では肺炎による入院・死亡リスクが高いため、ワクチン接種が勧められます。
2.持病のある方
- 糖尿病
- 心疾患
- COPD
- 喘息
肺炎球菌ワクチンは毎年必要?
インフルエンザワクチンとは異なり、毎年接種するものではありません。
ワクチンの種類により異なります。
| 1回のみ | プレベナー20、キャップバックス |
|---|---|
| 数年後に追加接種 | ニューモバックス |
過去にニューモバックスを接種した患者さんは、次にプレベナー20かキャップバックスを接種することで、以降の追加接種が不要になります。
副反応について
肺炎球菌ワクチンは比較的安全性の高いワクチンです。
- 腕の痛み
- 赤み
- 腫れ
もっとも多い副反応です。
数日で改善することがほとんどです。
よくある質問
ワクチンを打っても肺炎になりますか?
はい、肺炎になることはあります。
ただし、
- 重症化
- 入院
- 死亡
を減らす効果が期待されます。
かからないではなく、重くならないことが大切です。
高齢なので今さら打って意味がありますか?
あります。
むしろ高齢者ほど、肺炎予防の重要性が高くなります。
以前ニューモバックスを打ちました。新しいワクチンは必要ですか?
接種歴や年齢、持病によって異なります。
新しい結合型ワクチン(プレベナー20やキャップバックス)の追加接種が推奨される場合があります。医師へご相談ください。
まとめ
院長あいさつ
四街道みんなのクリニック 院長 古来貴寛です。
肺炎球菌は、肺炎・髄膜炎・敗血症などを引き起こす重要な細菌です。
特に高齢者や持病のある方では、重症化や命に関わることがあります。
肺炎は高齢になると怖い病気です。
だからこそ、元気なうちから予防することが大切です。
接種をご希望の方、どのワクチンを接種すべきか迷われる方は、お気軽に当院までご相談ください。
医療法人社団 昂花会
四街道みんなのクリニック
院長・医学博士 古来貴寛

