原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)
原発性腋窩多汗症とは
明らかな原因が無いのにも関わらず、日常生活に支障をきたすほど汗をかくものを原発性多汗症とよび、その中で腋窩(えきか=わきの下)の汗が多いものを原発性腋窩多汗症と分類しています。汗は本来、体温を調整するために必要なものですが、原発性腋窩多汗症の方は自律神経の働きに異常が起こり、体温とは関係なくどんどん汗が出てしまいます。
原因
自律神経のバランスが乱れ発汗のコントロールができないことにより、必要以上に汗をかいてしまうと考えられています。この汗は全身に分布するエクリン線から分泌されますが、本疾患では特に腋窩からの異常発汗が日常生活に支障をきたしています。特に精神的なストレスや緊張が引き金となって、汗が多く出ることもあります。家族に同じ症状のある人がいることもあり、遺伝的な要素も関係している可能性が考えられています。原発性腋窩多汗症を発症する平均年齢は20歳くらいですが、小学生のころから汗が気になっている人もいます。
症状
- わきの下に大量の汗をかく
- 汗染みが服に目立つ
- わきの臭いが気になる
- 緊張するとさらに汗がひどくなる
- 学校や仕事で人と接するのが気になる
検査・診断

治療
1. 外用薬(ぬり薬)
制汗剤(特に、塩化アルミニウム系)
汗の開口部を物理的に閉塞させ汗が出てこないようにする作用がある保険適応外の外用薬です。

『エクロックゲル5%』
2020年に国内で保険適応となった治療薬で、わきの下に塗るタイプの薬です。
1日1回、両方のわきにそれぞれポンプひと押し薬液を出し、わき全体に塗り広げます。即効性を期待する薬剤ではなく、効果を実感するまで1~2週間ほどかかりますので、使用を継続することが重要です。12歳以上で使用可能です。
- 1本(20g)で14日分の使用量
- 1本(20g)の薬価は4,874円
- 3割負担で約1,450円(1ヵ月約2,900円)


『ラピフォートワイプ2.5%』
2022年に国内で保険適応となった治療薬で、わきの下を拭くタイプの薬です。
1日1回、ワイプ1枚を用いて両方のわきをそれぞれひと拭きします。
即効性を期待する薬剤ではなく、効果を実感するまで数日~1週間ほどかかりますので、使用を継続することが重要です。9歳以上で使用可能です。
- 1日1枚の使用
- 1箱(28包)の薬価は7,016円
- 3割負担で1ヵ月約2,105円

2. ボツリヌス毒素注射(ボトックス注射)
汗腺の働きを一時的に止める治療で、わきの下に注射をすることで半年ほど汗の量を減らすことができます。当院では施行不可能ですので、必要時専門施設への紹介をします。
3. 内服薬
日本国内で多汗症に対して保険適用を有する内服薬(抗コリン薬)があります。1番の外用薬や2番のボトックス注射もすべて無効な症例について、3番目の選択肢として内服薬を検討しますが、当院では処方ができませんので、必要時専門施設への紹介をします。
4. 手術
重症の方で他のすべての治療で効果がない場合には、手術が選択されることもあります。当院では施行不可能ですので、必要時専門施設への紹介をします。
ご本人・ご家族の方へ
原発性腋窩多汗症は命に関わる病気ではありませんが、日常生活に支障をきたしうる疾患です。汗による悩みを解消し、快適な日常を送れるようにすることが治療目標になります。わきの汗が多くて困る、といった症状がありましたら医療機関を受診してください。
院長の一言
わきの下には誰しもエクリン汗腺があり、汗をかくところです。汗やにおいが気になる場合は、まず市販の制汗剤を試す方が多いでしょう。制汗剤を使用しても満足のいく日常生活を送れないな、と悩んでいる方は原発性腋窩多汗症の可能性はないか、一度医療機関を受診してみるのはいかがでしょうか。

